2011年8月20日土曜日

手段に振り回されない -『グランズウェル』よりメモ-

トレンドをウォッチしておくことは非常に重要だけれども、それに振り回されないことも同じくらい重要であるという話。今で言うと、例えば、ソーシャル的なもの。
これまでの傾向からも、トレンドは「手段」についてのものであることが多いと思います。例えばITにおいても、メインフレーム、ERP、仮想化、ASP、SaaS、クラウド、KM、BI、DWHなどなど、数えればキリがありません。(順不同)
(当たり前すぎるかも知れませんが)手段に拘泥しないためにも、「目的」を明確に持つことが重要になります。

というようなことを考えていたら、読んでいた書籍に同じようなことが書かれていました。それこそソーシャルやるなら必読みたいな書かれ方することが多い『グランズウェル』。(概要は色んなところで紹介されているので割愛)
曰く、
~まず、テクノロジーを考える。しかしテクノロジーの変化は激しい。最新のテクノロジーを追いかけるのは、勢いよく回っているメリーゴーランドに飛び乗るようなものだ。結局は目が回って、~
しかし治療法はある。一歩退いて、「顧客は、どんなテクノロジーを使う傾向があるのか?」と自問するのだ。次に「自分の目的は何か?」を考える。
だそうだ。
まあ、当たり前なんですが、改めて。

ところで、この「グランズウェル」という考え方。幾つか手段として有用そうなフレームワークがあったので、メモしておきます。
ちなみに「グランズウェル」の定義は、
グランズウェルとは社会動向であり、人々がテクノロジーを使って、自分が必要としているものを企業などの伝統的組織ではなく、お互いから調達するようになっていることを指す
とあります。わかりにくいですね。。簡単に言うと、「個人が強くなって組織の言い値で動かなくなり、しかも横でつながり始めてしまった」という感じでしょうか。

■POST
グランズウェル戦略を考える際の、段階的なプロセスを示す「POST」とは、下記のようなものです。
  1. P:people(人間):顧客は、どんなテクノロジーを使う傾向があるのか?
  2. O:objectives(目的):ゴールは何か?
  3. S:strategy(戦略):自社と顧客の関係をどう変えたいのか?
  4. T:technology(技術):どんなアプリケーションを構築すべきか?

手段ではなく目的から、と冒頭に書きましたが、本書ではpeople、つまり想定される顧客から始めよ、とあります。この辺はグランズウェルたる所以でしょうか。正直ここは整理学の問題であるような気もしていて、objectivesにpeopleも含めて考えてもいいのでは、と個人的には思ったりしています。

そこで、peopleとobjectivesを考える上でのフレームワークをそれぞれ引用。私なりの解釈では、このマトリックス(people×objectives)で考えればいいのかなと思っています。

■6タイプのpeople
まずは、people。グランズウェルの住人はテクノロジーに対する態度で、下記の6グループに分類できるのだそうです。上に行けば行くほどグランズウェルへの参加度が高い。自分たちの顧客はどこに属するのかを見極めます。
  1. 創造者(Creators)
  2. 批評者(Critics)
  3. 収集者(Collectors)
  4. 加入者(Joiners)
  5. 観察者(Spectators)
  6. 不参加者(Inactives)

ちなみに、人がグランズウェルに参加する理由は、下記のようなもの。この動機も合わせて、顧客の属性を特定していきたい。
友人づきあい、友人作り、友人からの圧力、先行投資、利他心、好奇心、創造的衝動、他者からの承認、同好者との交流

■5つのobjectives
もう一つは、objectives。下記の5つの目的のうち、どれを達成したいのかを定義する。
  • 耳を傾ける(傾聴戦略):顧客理解を深め、顧客インサイトをマーケティングや開発に利用する
  • 話をする(会話戦略):双方向的な形で、自社のメッセージを広める
  • 活気づける(活性化戦略):熱心な顧客を見つけ、口コミの力を最大化する
  • 支援する(支援戦略):顧客が助け合えるようにする
  • 統合する(統合戦略):顧客をビジネスプロセスに取り込む(製品の設計に顧客の声を取り込む等)

それぞれ、従来の業務機能との対応を示しておく。これまでのやり方をいかに変えていかなくてはならないかのヒントになるはず。
  • 傾聴⇔リサーチ
  • 会話⇔マーケティング
  • 活性化⇔セールス
  • 支援⇔サポート
  • 統合⇔開発


このマトリックス(people×objectives)がしっかりと考え抜ければ、あとは具体的な戦略(S)と技術(T)を考えればよいということになります。
(考えればよい、と言うほど簡単なものではないし、重要なプロセスであることは付記しておく)

個人的には、上記の5つのobjectivesをB2Bのビジネスで形にする方策を考えたいと思っています。

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