2011年8月23日火曜日

企画パーソンが心がけたい3つのこと -ノンフィクションの技術から学ぶ-

先日のエントリーで少し内容をご紹介した『調べる技術・書く技術』(野村進著)ですが、他にもノンフィクション作家の調べて書く技術と、ビジネス(特に企画)の技術で共通する点があったので、メモ。

以前のエントリー>>インタビューとは「観察する」こと -『調べる技術・書く技術』を読んで-

応用したいのは、「企画」という分野。自身も日々、ウンウンうなっているわけですが、これが意外と共通点が多いのです。両者ともに、テーマやトピックを決め、ファクトや生の声を集めて、意味合いを見出し、形にする、という仕事(乱暴ですか?)。共通点が多いのも頷けます。
さて今回は、本書を読んで再認識させられた、企画に携わる者として心がけたいことを3つに整理しました。

1. 足で稼ぐこと
まずは本書より引用します。ベトナム戦争にのめり込んでいくホワイトハウスの指導者たちの姿を、まるでその場に立ち会っていたかのように描いた、『ベスト&ブライテスト』の著者ハルバースタムの言葉。
私の取材のやり方は、インタビューを繰り返し、その人から聞き出すことが何もなくなるまで続けるという方法です。とにかく取材することですよ
(中略)
レッグワークをすること、そして人に会いつづけること。このようにしてケネディについて三ヶ月くらい集中的に調べていくと、ケネディを実際に知っているある人物をインタビューしているさなかに、『この人よりも自分のほうがケネディのことを知っている』とひらめく瞬間があるのです。突然『わかった!』と思うマジック・モーメントがね。そこで次のハードルに移るわけです。

企画においても、アイデアを考える時、草案を検証する時、誰かを説得する時、基本となるのはファクトや消費者や関係者の生の声を集めるというところにあると思います。ある日突然ビッグアイデアが降って湧いてくる人や、自分がトップだから想いだけでやれてしまうんだという人も中にはいるかもしれませんが、そのようなことは例外です。
まずは「足で稼ぐこと」、その積み重ねが、アイデアのひらめきや企画のレベルアップ(≒マジック・モーメント)を生み出します。

2. 捨てること
ここもまずは引用から。これは著者の言葉。
取材で集積した事実のうち、実際に使うのはせいぜい十分の一程度、できれば二十分の一以下が望ましい。そうしないと、作品の輪郭がぼやけてしまう。言い換えれば、いかに取材データを惜しげもなく捨てられるか。その思い切りのよしあしで、作品の出来不出来が決まると言ってもいい。
どこを生かし、どこを捨てるかの選択は、やはり書きつづけることで身につけるしかない。概して、捨てる量が多ければ多いほど、作品の質は向上するものだ。これを「削除のための勇気」と言った評論家もいる。

これを企画の文脈で言うと、リストアップしたアイデアや詳細に詰めてきた企画を、脈がないと合理的に判断できる場合は思い切って「捨てること」を意味します。企画書に思考のプロセスまで含めて文字をいっぱい詰め込むことを止める、これも当てはまりますね。

実はこの部分は個人的に一番不得手なところだったりします。人は自身が足で稼いだことや着想したことに、折角考えたのに勿体無いとか、まだ何かあるはずとか、とかく執着しがちです。ビジネスでもサンクコスト(埋没コスト)なんて言いますが、過去にかけたコスト(時間や知恵)は既に消費したものである以上、これが何も生み出さない場合、勿体無いというのは論理的ではないわけです。むしろそれに拘り更に無駄な時間やコストを費やす方が勿体無い。

足で稼いでアイデアを出すまでは、リストを増やしていく作業。一方で、そこから企画に落とし込んでいく作業を、「リストを絞り込んでいく作業」と捉えるか、「リストを捨てていく作業」と捉えるか、ここがこのステップをうまく乗り越えられるかの大きな分岐点になりそうです。

ここで、スティーブ・ジョブス氏の言葉を引用しておきます。しびれます。
“集中する”というのは、集中すべきものに『イエス』と言うことだと誰もが思っている。だが本当はまったく違う。それは、それ以外のたくさんの優れたアイデアに『ノー』と言うことだ。選択は慎重にしなければならない。私は、自分がやってきたことと同じぐらい、やらなかったことに誇りを持っている。イノベーションというのは、1000の可能性に『ノー』ということだ。

3. 考え抜くこと
アイデアや企画の焦点が絞れたら、あとはそれを磨く作業です。もうここはひとえに「考え抜くこと」です。
毎日新聞の名物記者だった内藤国夫氏も下記のように言っているそうです。
自分が書きやすいものは、読者には読みづらい。ラクして書いたものには、読むのに苦労する。反対に苦労して書くと、読む方は、読みやすい。

企画の中で本当に伝えたいメッセージは何なのか、アイデアの中で一番コアな部分はどこなのか、シンプルに「重要なことは、この3つです!」と言い切れるくらい、練りこむ必要があるのだと思います。

これまたGoogle先生に教えてもらった、しびれる言葉をご紹介。作家アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(知らないけど。。)の言葉だそうです。
デザイナーが自分の作品を完璧だと思うのは、付け加えるものが何もなくなったときではない。取り去るものが何もなくなったときだ。


以上、当たり前なことが多いですが、企画に携わる者として心がけたいことを整理してみました。
皆さんも、「すごく時間かけて企画練ったのに、なんか中身ないな。。」「どっかで見たことある感じだな。。」「なんでこの企画の良さが伝わらないんだ。。」といったような経験あるかもしれませんが、この3つを見直してみると「あっ」となることもあるかもしれませんね。

勢いあまって、自分自身へのハードルを上げてしまいました。精進していきたいと思います。

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